現代において、ブラック企業、パワハラやセクハラなどの問題は常に話題になっており、それは介護業界にとっても例外ではありません。むしろ、介護業界は他の業界と比べてもハラスメントの可能性が高い業界ともいえるかもしれません。
介護業界は、利用者さんの人生を預かる重要なサービス業であると同時に、その仕事を軽視される傾向にあるからです。サービス業である以上、利用者さんは利用料を支払っており、それが利用者さんに自分は立場が上だと誤認させることがあるのです。
また、中には利用者さんの家族がこういった料金とサービスの関係を用いて、介護職に厳しく当たる事例もあります。その結果、過剰なサービスの要求や、暴力や罵声などによって心身に傷を負う介護職が増えているのです。一方で、介護職はもとより肉体的にも精神的にも辛い仕事です。高齢者の健やかな老後をサポートする重要な仕事でありながら、その仕事内容は「きつい」「汚い」「危険」の3Kで言い表されることも多く、業界全体を軽視する風潮もあります。それが介護職にとってのストレスになったり、利用者さんやその家族が介護の仕事を軽んじる一因となっているのです。
もちろん、ハラスメントをしてしまう人の中には、認知症などを患っている人もいます。しかし、実際はそういった認知症患者の人以外からのハラスメントも起きています。それは、上記のような理由で介護職に対する過度な期待とある種の蔑視のせいだと言えるのです。